第1回 日本小児在宅医学会 学術集会 大会長挨拶

大会テーマ:子ども・きょうだい・家族によりそう在宅医療
~多職種のプロフェッショナリズムを追求する!~

日時:2025年9月13日(土)~9月14日(日)
場所:東京ビッグサイト 国際会議場

人工呼吸器や経管栄養など、医療的ケアが必要な子どもが増えています。小児がんの子どももいます。彼らの状態像は多様で、寝たきりの子どもから、走れる子どもまでいます。スマートフォンを操る子どももいます。新しい治療や医療的ケアの手段も増えており、それぞれの地域の受け皿も一様ではありません。

この多様な社会の中で、在宅医療は、その子どもたちが暮らす家に訪問し、病院医療とも連携しながら、本人ときょうだい、家族の暮らしによりそってきました。しかし、子どもたちの暮らしは医療だけで支えることはできません。そこに多職種が関わることで、安全と安心のケアができ、子どもは遊び、学び、育っていきます。

2021年に施行された医療的ケア児支援法により、世の中は大きく動き出しました。保育園等と学校では、医療的ケア児の受け入れが進んでいますが、まだ現場は手探り状態です。家庭以外の場所で、子どもが安心して過ごすためには、多職種がていねいに関わっていく必要があります。

また、いのちに向き合う視点も欠かせません。小児がんだけでなく、重症心身障害児や代謝異常、神経筋疾患など、在宅で暮らす子どもの緩和ケアは、重要な課題です。

やがて、子どもは成人期を迎えますが、移行期医療を誰が担うのか、社会参加、そして自立に向けた意思決定支援についても、真摯に向き合っていく必要があります。

黎明期からそれぞれの地域で取り組んできた、第一世代の医師に続き、小児在宅医療にかかわる医師が増えています。また、この分野には、今では多くの若い医学生や多職種の学生が興味を持ち、中には早くから子どもと家族に関わるNPO活動を始める人たちもいます。そこに私たちは、未来への希望を感じます。これからの小児在宅医療を担う第二世代の人たちが、さらに学びを深められるよう、小児在宅医療に関連する分野の研究と教育、普及活動、他学会との連携も欠かせません。

今の社会情勢において、病気や障害を持つ子どものきょうだいに対するあたたかな眼差しと配慮は必要です。また医療的ケア児の中には、ひとり親家庭やネグレクトなど、社会的支援が必要な子どもも増えてきています。さらに一部ではありますが、過度な要求でスタッフが燃え尽きてしまうカスタマーハラスメントの声も聞かれるようになってきました。

これらの大きな社会課題に取り組むためには、各地で、この分野に関わる次の担い手を増やし、多職種がそれぞれのプロフェッショナリズムを追求する必要があります。

これまで、多くの先生方にご尽力をいただいた日本小児在宅医療支援研究会は、この度、日本小児在宅医学会になります。第1回の日本小児在宅医学会学術集会は、現地での対面開催を基本とし、同時配信はいたしません(一部オンデマンド配信は予定)。ぜひ、東京に集い、学びと、多職種の交流を深めていただきたいと思います。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

2025年9月吉日

大会長 髙橋昭彦
ひばりクリニック院長
認定特定非営利活動法人うりずん理事長
栃木県医療的ケア児等支援センターくくるんセンター長

副大会長 宮田章子
副大会長 前田浩利

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